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事業収支(フィージビリティ)の作り方|商業ビル開発の収益計算

公開日 2026.08.06 / 株式会社エリアプロジェクト

商業ビル開発の成否は、着工前にほぼ決まります。それを左右するのが事業収支(フィージビリティスタディ)——投じるお金と、生まれる収益・売却益を突き合わせ、「この開発は成立するのか」を数字で判断する収支計画です。ここが甘いまま進めると、「建てたが儲からない」という取り返しのつかない結果を招きます。

本記事では、商業ビル開発の事業収支を、収入・支出・利回り・投資回収の4ブロックに分けて、作り方の手順を具体的に解説します。専門用語も一つずつ噛み砕くので、初めての方でも収支の骨格がつかめます。

事業収支は「4つのブロック」で組み立てる

事業収支表は複雑に見えますが、構造は次の4つに整理できます。

  1. 収入(賃料など、建物が生む収益)
  2. 支出(土地代・建築費・諸経費)
  3. 利回り(投資に対する収益の効率)
  4. 投資回収・出口(回収と売却益)

順番に組み立てていきます。

ブロック1:収入を積み上げる(レントロール)

まず、建てた建物が生む年間収入を積み上げます。フロアごとに「面積 × 賃料単価」で賃料を算出し、共益費や駐車場収入などを加えます。この各区画の賃料一覧をレントロールと呼びます。

ポイントは3つ。①路面店(1階)と上層階で賃料単価が大きく異なること、②満室想定ではなく空室率(たとえば5〜10%)を織り込むこと、③フリーレントや賃料の下落リスクも見ておくこと。都心の一等地では路面店の賃料が収益を牽引するため、1階をどう設計するかが収入を大きく動かします。

ブロック2:支出を洗い出す(総事業費)

次に、投じるお金の全体像=総事業費を洗い出します。主な項目は次のとおりです。

支出項目内容
土地取得費土地代+仲介手数料・登記費用など
建築工事費本体・解体・外構など(最大の変動要因)
設計監理費設計事務所への報酬
諸経費各種申請・保険・調査費
金融費用借入金利・融資手数料
予備費想定外への備え

このうち建築工事費が最も大きく、かつ最も読みを外しやすい項目です。近年は資材・人件費の高騰で建築費が上がり続けており、概算の精度が低いと収支全体が崩れます。エリアプロジェクトは±7%の精度で概算建築費を提示し、初動から現実的な収支を組みます。

ブロック3:利回りで効率を測る

収入と支出がそろったら、投資効率=利回りを計算します。ここで表面利回りとNOI利回りの違いを必ず理解してください。

運営コストを差し引く前の、ざっくりした指標。

管理費・修繕積立・固定資産税・空室損などを差し引いた、本当の収益力を表す指標。

たとえば表面利回り6%でも、運営費を引いたNOIベースでは4.5%まで下がる、といったことは普通に起こります。事業判断はNOIベースで行うのが原則です。表面利回りだけを見て「回る」と判断するのは危険です。

「うちの土地で組んだ事業収支、成立するのか」を確かめたい方へ。 エリアプロジェクトは土地情報をいただければ、レントロール・総事業費・利回り・出口までを織り込んだ事業収支を24時間で作成し、事業性の可否を数字でご提示します。 → 【事業性判断を相談する】

ブロック4:投資回収と出口を見る

最後に、投じた資金をどう回収するかです。保有して賃料で回収するのか、完成後に売却して利益を確定するのか。出口(売却)を見込む開発では、想定売却価格=NOI ÷ 想定利回り(キャップレート)で逆算します。

たとえば年間NOIが3,000万円、市場の想定利回り(キャップレート)が4%なら、売却価格は「3,000万円 ÷ 4% = 7億5,000万円」が目安になります。この出口価格が総事業費を上回れば、開発は事業として成立します。出口から逆算して開発を設計するのが、プロの収支の作り方です。

事業収支は「保守的に」作るのが鉄則

収支を作るとき、収入は多めに、支出は少なめに見積もりたくなるのが人情です。しかし成功する開発の収支は、逆です。収入は控えめ(空室・賃料下落を織り込む)、支出は多め(建築費上昇・予備費を確保)に組みます。ストレスをかけた条件でも成立するなら、その事業は堅い。感覚的な楽観を排し、悲観シナリオに耐える収支を作ることが、失敗を避ける最大のコツです。

まとめ

商業ビル開発の事業収支は、①収入(レントロール)②支出(総事業費)③利回り(NOIベース)④投資回収・出口 の4ブロックで組み立てます。表面利回りではなくNOIで判断し、収入は控えめ・支出は多めの保守的な設計にすることが成否を分けます。

とはいえ、精度の高い収支を自力で組むには、賃料相場・建築費・出口市場の実務知が必要です。まずは専門会社に土地の事業収支を作ってもらい、数字で判断することをおすすめします。

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